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  >>みちくさへの誘い > 往路(5) 豊栄神社〜十王堂

 往路(銀山公園 発) 豊栄神社〜

【 豊栄神社 】 

 

 豊栄神社(とよさかじんじゃ)の祭神は、戦国の武将・毛利元就で、もとは元就
 によって開基された曹洞宗の長安寺だ。

 元就の死後は、孫の輝元が、元就自作とされる木像を置いて供養させた。
 明治初期に廃寺、元就が神号をえて神社となった。 境内の石灯籠などの台座
 に刻まれる名前は、明治維新前夜、大森に進駐した長州兵が、藩祖・元就との
 縁で神社を改修した折に刻んだものだ。

 因縁の関が原以来の、時代の変わり目の記憶だ。なお、木像は、いま防府の
 毛利家にあるとされる。 

 3枚目の画像「御取納丁銀(おとりおさめちょうぎん)」は、元就が「正親町天皇」
 の即位に際し、献上したもののレプリカ。16cm×。5.2cmで重さは160g。
 元就が、永禄3年(1560)に正親町天皇の即位礼に際して、1100枚献上した
 時の物の一枚とされる。

 丁銀は、その形から「ゆずりは銀」とも呼ばれ、室町から江戸時代に流通した
 銀貨。薄く長楕円、重さは160g前後、適当に欠いて重さで利用・流通した
 (秤量貨幣)であったこともあって、完全な形のものは多くなく貴重な所以だ。

【 十王堂 】 

 

 十王とは、閻魔王など冥府(=冥土の役所)で死者を裁く十人の王のことで、
 それらを一堂に集め祀るお堂が十王堂だ。

 十王経に、『 人は死後、これら各王庁での捌きを受け、来世の生所・在所が
 決まる。その採決で、極楽の天上界に行く者、鬼が呵責する地獄界に行く者、
 そのほかは下界(人間界)に戻り、人や動物に生まれ変わる 』 とされ、極楽
 往生を願う人々の信仰を集めた。

 元は個別に祀ったが、何時からか合祀された。ただ、大勢居並ぶ仏様の、
 どれが何方かは、信心に浅い罰当たりには良く解らない。

 鎌倉時代発生の偽経で詳しくは知らないが、本当にそんな世界があるなら楽し
 そうにも思え、個人的にはドラマチックで刺激的な方がいい。ただ、お堂に大勢
 居並ぶ王像の、どれが何方なのかは、信心に浅い罰当たりには良く解らない。
 こんな調子だから、日々降り掛る災難も、罰(=神仏が与える懲らしめ)なのか
 身から出た錆(=自業自得)なのか、区別もつかない。とは言うも、今の我々の
 心の中の片隅に、このような死生観も宿っているかもしれない。

 一見不足にも見える暮らしを、信仰で満たして暮らす生き方、それぞれに対照
 的な幸福の形だ。果たして、江戸のここ銀山の人々は、どんな幸福の形を想い
 描いて、十王に仏にすがったのか、そしてそれで報われたのだろうか・・・。

 ▽銀山公園 〜
 ▽蔵泉寺口番所跡〜
 ▽地役人遺宅 渡辺家〜
 ▽下河原吹屋跡〜
 ▼豊栄神社〜

 ▽極楽寺〜
 ▽山吹城大手口〜
 ▽休役所跡〜
 ▽白米ケ谷〜

 ▽間歩群 甘南備坑〜
 
 復路(龍源寺間歩 発)
 ▽順勝寺跡 〜
 ▽新切間歩〜
 ▽清水谷精錬所跡
 ▽安養寺 鏝絵〜
 ▽龍昌寺跡 宝篋印塔〜

 ▽大安寺跡 逆修塔
 ▽妙正寺跡〜

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